【それ間違ってませんか?】出世魚カンパチの本当の呼び名
釣り人目線で出世魚を解説していきます。 釣り人は釣れたサイズでカンパチの呼び名を変えています。 時にそれは 釣れたサイズを控えめに言う日本人ならではの美徳も兼ねています。 そんな時に間違えないよう、正しい出世魚の呼び名を覚えておきましょう。 ・本記事の執筆者:ミンコタ ・Twitterフォロワー:5000 @minnkota_style ・今まで釣りあげた魚種:100種以上 ・釣り歴:30年 ・2級船舶免許 目次 基本編 サイズ別の呼び名と特徴 特徴 名前が変わる理由 幼魚の生態と生息域 カンパチは仲良し まとめ 基本編 カンパチの成魚は漢字で書くと「勘八・間八」または「寒八」です。 これはカンパチを正面から見ると分かるのですが、「八」の字に見えることから「間八」と名付けられた説が有力です。 他にも「寒八」は、天然のカンパチが旬を迎える11月が寒い時期であることから付けられたと言われています。 スズキ 目アジ科で漢字の構成要素に魚偏がない魚類の代表格です。 英語では「Amberjack(アンバージャック)」と呼ばれ、世界中で釣りのターゲットとしても人気の魚です。 基本的な呼び名は下記ですが、実は様々な名前を持つ魚なのです。 幼魚:モジャコ 若魚:ショゴ・ネリゴ 成魚:カンパチ・勘八・間八・寒八 サイズ別の呼び名と特徴 関東~関西 15cm未満: 「ショウサイ」 「コマセカンパチ」 15cm~30cm未満: 「シオッコ」 「シオ」 30cm~50cm未満: 「シオゴ」 50cm~70cm未満: 「アカハナ」 80cm~: 「カンパチ」 関西~九州 15cm未満: 「ショゴ」 「モジャコ」 15cm~30cm未満: 「ネリ」 30cm~50cm未満: 「ネリゴ」 50cm~70cm未満: 「ネリゴ」「カンパチ」 80cm~: 「カンパチ」 特徴 15cm未満 体色は銀色、ひれは黄色なのですが、海藻などに引っ付いて漂うため擬態できるように体側に黒い斑点がある個体もいます。 ブリやヒラマサの幼魚と見分けがつかない個体も居たりします。 15cm~50cm未満 体色は銀色、背側に青色のライン、胴中央に黄色いラインがあります すでにカンパチの色をしており、頭の部分に漢字の「八」の様な黒いラインが出てくるので幼魚との違いがはっきりしてきます。 50cm~60cm未満 背中は青から赤や茶色に変わり、中央の黄色のラインが消えて銀色の体色になります。 頭の部分にあった漢字の「八」の様な黒いラインも消えていきます。 このクラスがよく市場でも取引されています。 80cm~ 背中は赤や茶色に変わり、中央の黄色のラインが消えて銀色の体色になります。 100㎝を超える大型魚になると、おなかの方まで含め全体的に赤く見えるため海域にもよりますが、主に四国、鹿児島など南の方ではアカハラ・アカバラと呼ばれています。 名前が変わる理由 魚類において名前が変わるのには理由があります。これは成長していく段階で外観の変化、繁殖期までに性別が変化する魚種もいるためです。 体の変化 カンパチも幼魚、若魚時期にあった頭の「八」の黒いラインが成魚になるにつれ薄くなり、最後は消えてしまいます。 青みがかったグレーの背中、体の側面に走る黄色い線も同様です。他の魚でも、幼魚と若魚、成魚で体の形や色、模様などが異なる種類がいます。 性別変化 性別や繁殖状態が変わる代表例がクロダイです。 クロダイは幼魚のうちは全てオスです。 10センチを超えはじめ精子ができてきます。15~25センチになると両性型になり、その時の雄雌比率などにより変化することができます。 これを雄性先熟と呼びます。 ちなみにクロダイは30㎝までをメイタ、次にカイズ、成魚でクロダイと呼びます。 市場では重要な指標になる このように名前の変化は、魚の個体差や生態的な特徴を表したものが多く散見されます。 ちなみに市場での商取引においては重要な意味になります。 これは魚の名前によって 品質・価格が異なるからです。 私たち釣り人が見分けるよりも、より正確な名前を付ける必要があります。 この場合、大きさや重さなどの定義があるため、閾値をもとに正確な名前で判断されています。 幼魚の生態と生息域 幼魚時代は藻と一緒 カンパチの幼魚は、流れ藻に隠れてプランクトンやエビなどを捕食し大きくなります。 青物と呼ばれるカンパチをはじめとするブリ・ヒラマサも同様の過ごし方になります。 こした5㎝にも満たない青物の稚魚を総じてモジャコと呼んでいます。 この時の体型は身を隠すため細長く、背鰭と尻ビレが長いのが特徴です。 ちなみにモジャコを捕獲して養殖するため、専用の漁が各地で行われています。 若魚になると沿岸に住み着きます 体調が10㎝を超えると沿岸域でも水深が深い場所に生息しはじめます。 主に岩礁、海藻などの海底付近に生息しており、障害物の隙間に身を隠しながら、エビや小魚を食べて大きくなります。 その他海中の様々な生物の中に紛れて生活しているため、我々釣り人でもあまり見かけることはありません。 若魚は成長するにつれて、身体の色が変わり、特徴でもある側面の黄色のラインが浮かび上がってきます。 この頃になると主食となる小魚を追って岸近くまで回遊するようになります。 成魚の生態と移動パターン カンパチは海洋性の回遊魚であり、水温によって移動を繰り返します。 基本的に成魚や大型は主に熱帯・亜熱帯の海に生息していて、30㎝~70㎝クラスは夏は湾内に入って餌をさがし、冬場は沿岸を離れる行動をとっています(このサイズが脂もほどよくのっている)。 春から初夏にかけて相模湾や三浦半島周辺、南房総周辺で見られます。全国的に秋口によく釣れるのはこの水温のためです。 ちなみに年中、適温となる鹿児島県や沖縄県の海域では回遊の必要がないため、根魚のように一か所に住み着く行動をとります。 このようなことから他の青物に比べ漁獲量が少ないため高級魚の部類に入ります。 水深200mでも生息できる 成魚や1mを超える大型は水深200m以深の水深帯に生息するようになります。 ディ―プジギングで狙う大型カンパチは、このような水深でのカケアガリや根を狙っていきます。 ちなみにカンパチは成長するにつれて移動距離が長くなる傾向があり、国立研究所の例で言うと総移動距離は104~947km。 1 日あたりの平均移動距離は5.5~14.9 kmと,遠く離れた海域に移動した例もあります。 国立研究所 カンパチの移動距離の記事はこちら https://www.jstage.jst.go.jp/article/suisan/advpub/0/advpub_22-00026/_pdf カンパチは仲良し 釣りをしている方はご存じかと思いますが、カンパチの若魚は群れで行動しています。 群れの1匹が止まると、ほかの魚もそこに留まる習性があるため、釣続ける傾向があります。 このため遊漁船や磯釣りのターゲットになりやすく、伊豆半島や土佐、九州などで人気の魚になっています。 (逆に1回バレしてしまったら仲間の魚も逃げてしまう) 関東ではシオと呼ばれる若魚をコマセで狙う釣りもポピュラーです。 まとめ カンパチは、魚図鑑で見るとスズキ目アジ科ブリ属で大型の海水魚になります。 体長は1.8m以上にもなり、体重50kgを超えることもあります。 また、カンパチは鱗が小さく光沢のある体色が特徴的で、身は赤身と白身分かれ、赤身部分が特に美味です。 回遊魚であるため身が固く、料理するのは2~3日おいてからの方が柔らかいです。 おすすめは刺身になります。 ハマチとはまた違った味で、寿司においても高級のカテゴリーに入り、人気の食材の1つになります。 世界中の温帯・熱帯海域に分布しており、日本でも漁獲される代表的な魚の一つです。 学名や分類 カンパチの学名はSeriola dumeriliです。 地域、そして魚が大きくなるにつれて名前が変わる出世魚と呼ばれる魚です。 地域やサイズ別の呼び名達 一覧 カンパチ・ショッコ・ネリゴ・ネイリ・シオ・ショゴ・ネイゴ・アカビラ・シオゴ・ショウゴ・ネリコ・ショッコ・シオノコショーゴ・ショッパチ・ハチカイ・ニリ・アカハナ・シオッコ・アカバナ・アカバラ・ウキムルー・ネレ 小笠原や屋久島海域で釣れる大型カンパチは全体的に赤みがかっているためアカバラと呼ばれています。 その他、地域による呼び方があるとされていますが、今回紹介したのは代表的な名前を挙げてみました。 カンパチの英語名はAmberjack(アンバージャック)です。 また、世界中の様々な国や地域で漁獲されていますので、もしかすると英語においても、幼魚・若魚でそれぞれ独自の呼び名が存在するかもしれません。 他にも様々な釣りの情報を発信していますので、お時間あるときにはぜひご覧ください。