釣り天気

漁師・釣り人が天気予報ではなく気象情報を見るべき理由とは

Last Updated on 2023年1月2日 by ミンコタ


漁師さんは「観望天気」を使い、無駄な出船をしません。天気を読む力は学ぶべきものがあります。


釣り人にとって天気予報は重要な準備の1つ。

気温や風向き、波などでその日のポイントが変わるからです。

今は無料の天気予報サイトが多くあり、釣り場の降水量、波や風を即座に確認することができますが、いざ現場に着くと「天気予報と全く異なる」ことは多々あります。

天気予報はだれでも見て理解できます。しかし、気象情報は見てもよくわかりません。

重要なのは気象情報です。

そんな方のために、「最低限抑えると良い知識」をわかりやすく解説しています。

正確な気象情報を予測することは釣果にも影響するため漁師さんも敏感になっています。

天気予報の確度を上げるために必要な知識・天気用語をわかりやすく解説します。

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この記事を読むことで

・海技の知識を学ぶことができる

・漁師の観望天気を学ぶことができる

・天気図から風向きや風速を予測できる

・身の安全を守ることができる

そして今後の天気予報精度を高めることができます。

ライター紹介

・本記事の執筆者:ミンコタ
・Twitterフォロワー:5000
@minnkota_style
・今まで釣りあげた魚種:100種以上
・釣り歴:30年
・2級船舶免許

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気象と海象

日本列島はアジア大陸と太平洋に挟まれた中緯度に位置しているので大陸と海洋両方の気象要素の影響を受けて天気が頻繁に変化します。

台風などが列島をかすめるように動いていく理由も同様です。

高気圧と低気圧



気圧が周囲より高いところを高気圧。低いところを低気圧と言います。

日本列島とその付近の天気に影響する高気圧や低気圧はその構造や成因などにより次のように分類することができます。


高気圧

・夏季に日本列島の太平洋に発生する温暖高気圧(太平洋高気圧)
南から南東にかけての強い風が吹き蒸し暑くなります。
天気の変化は少なく、海上は比較的穏やかです。


・冬季 に中国北部シベリア地方で発生する寒冷高気圧( シベリア高気圧)
非常に混んだ等圧線が走っている時は季節風が強まり会場は時化の状態が続きます。

・春や秋にアジア大陸で発生し日本列島を横断する移動性高気圧
一般に移動性高気圧と低気圧が交互に日本付近を通過するため天気も3から4日周期で変化し、海上の穏やかな状態も長続きしません。

ポイント!

風は高いところから低いところに吹きます。

つまり混んだ等圧線は急激な高低差があるため強い風が吹く傾向にあります。


低気圧

・太平洋の赤道付近で発達して台風にまで成長する熱帯低気圧

・中国方面で発生し前線を伴って日本列島東方まで移動する温帯低気圧

・低気圧の一部が地形などの影響で膨らんで局部的に低気圧体を構成する副低気圧

・上空に換気を包み込んでいる寒冷低気圧


温帯低気圧

中国で発生した低気圧は日本列島に向かって北東に進みますが日本列島の北側を通過するか南側を通過するかによって全国の天気の変化に大きく影響します。

この低気圧が冬の終わり頃から春先にかけて日本列島の南を通過すると日本各地に雨を降らせ関東地方や内陸部に春の大雪をもたらします。

動きが早いため前日は穏やかでも翌日は荒れ模様となり小型漁船にとっては十分警戒を要する低気圧です。



日本列島の北を通過するときには南からの暖気を持った春一番と呼ばれる強風が吹きます。

またこの春一番が吹いた後は北から突風が吹いて海上では小型船舶の遭難事故が多発することがあります。

ポイント!


気圧の谷を分かりやすく


暖かい空気と冷たい空気がぶつかって雲や雨雲ができて、天気が悪くなることが多いです。


天気図上で低圧側から高圧側に向かって窪んでいる地域、気圧が周囲より低い部分の連なりを一般の地図の谷にたとえて気圧の谷といいます。


高気圧と高気圧の間を指すことも。


地図の高低線と同じように考えます。


前線は寒暖の強さ

暖気と寒気の境界付近は空気の状態が不安定になりますがこの境界線が地面に接しているところ前線と言います。

前線の種類を示したもので温暖前線及び寒冷前線は通常は低気圧に伴って東方に温暖前線 、西方に寒冷前線があります。

寒冷前線が通過すると、風向きが急に変化し突風・雷・局地的な降雨、時には竜巻など警報になる事象が発生することがあります。今までの比較的平穏な海上模様が一変するので寒冷前線の通過には十分な注意と警戒が必要です。


簡単に言うと

・寒くなった後あたたかくなる

・風が吹いた後、おだやかになる


今がどちらなのか、これからどうなるのか、前線で予測できるということです。

台風



海水温の影響から赤道付近で発生する熱帯低気圧は、発生当初はゆっくり西片に進行しながら発達し、中心に吹き込む最大風速がおよそ17 m/s( 34ノット)以上になると台風と呼ばれます。


台風の風は中心に向かって反時計回りに吹き込みますから風速の変化を観察すれば観測地点が台風の進行方向の左右どちら側になるかを知ることができます。


風向きが時計回りに変化する進行方向の右側に反時計回りに変化すれば左側に位置しています。

例えば風向きが北東から東、南東と変化すれば観測地点は、台風の進行方向の右側にあって近づいており、その後南西、西と変化すれば通過して遠ざかっているのを知ることができます。


台風の進行方向の右側では台風の中心に吹き込む風速に台風の移動速度が加わるため左側より風が強くなります。
気象庁は台風のおおよその勢力を示す目安として次のように風速(10分間平均)をもとに台風の大きさと強さを表現しています。

階級

・大型:風速15M以上の半径が500~800㎞

・超大型:風速15M以上の半径が800㎞~

強さ

・強い:33m/s(64ノット)以上~44m/s(84ノット)未満

・非常に強い:44m/s(85ノット)以上~54m/s(105ノット)未満

・猛烈な:54m/s(105ノット)以上

特に風速25 m/s以上の風が吹いているか、吹く可能性がある範囲を暴風域と呼びます。
気象庁は注意報として台風の進路予報も発表していますので早めに情報を入手して避難しましょう。

突風

今まで吹いていた風と比べて急に風が強くなって継続時間が短いものを突風と言います。

この現象は風が地形や建物、大気の状態などのいろいろな条件が作用することによって起こりますが強烈な風により大きな被害をもたらすことがあります。

この突風が起こりやすい気象条件としては勢力の強い温帯低気圧や寒冷前線が接近している時、発達した積乱雲が接近している時などで積乱雲の下で発生する竜巻やダウンバーストも突風の一種になります。
発達した積乱雲が接近すると辺りが急に暗くなり風向きが急に変わって風が強くなります。また落雷や強い雨を伴うことが多いですから海に出るときは空模様の変化に注意して早めに安全対策を講じましょう。

観天望気

気象に関する情報はラジオ・テレビ・インターネット、あるいは携帯電話などで入手することができます。これらの情報を基本にして自分がいる場所の雲の形や風の変化などを観測して天気の変化を予測することができますこれを観天望気と言います。

天気は西の方から変化していきます。それまで晴天だったのに突然西の空に黒雲が帯状に広がり次第に近づいてくることがあります。それに伴って急に天気が悪くなったり風向きは風力も変化していきます

このように観天望気によって天気の変化を知ることができます。
また各地域にはその土地特有の気象状況があり、この現象がことわざとして伝えられているので、そのことわざを知った上で観天望気に努めることも必要です。

地方によっては違いがありますが代表的なことわざの例をいくつか紹介しておきます。

  • ・うろこ雲が出たら3日のうちに雨
  • ・朝焼けは雨理由は晴れ
  • ・山鹿笠をかぶると雨
  • ・台風の翌日は晴れ
  • ・笠雲がかかると強風が吹く
  • ・日本晴れ3日続けば3日以内に雨
  • ・ 日傘月暈が出ると雨
  • ・春に三日の雨なし

漁業者など天候と関わりのある職業についている人はその土地の観天望気に詳しいので教えてもらうことも良い方法です。毎日雲の流れや風向きなどを知っており、過去の経験を多く持っています。

まとめ

近年、雨雲レーダーなどミリ単位に近い精度で天気がわかるスマホアプリが民間企業等で開発されています。雨の他にも台風情報・梅雨やスポットでの大雨などの防災、波高・潮夕の時刻などデータ。このように予想してくれるスマホアプリが手軽で利用できることに加え設備費用がかからないため最も普及した天気予報だと思います。
しかしスマホアプリの情報は天気を保障してくれるものではありません。
前途に書きましたように天気図の推移を見つつ観天望気による変化の予測、これらも判断材料に加えることでより天気や気象の角度があがっていきます。
楽しい釣りやレジャーの時間を過ごすための知識の1つになれば幸いです。

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