【ブリ線虫攻略法】寄生虫が入った天然のブリ食べ方

【ブリ線虫攻略法】寄生虫が入った天然の食べ方/アニサキス

Last Updated on 2023年8月18日 by ミンコタ

釣り歴30年、多くのブリやハマチを釣って食してきました。

そして、多くのブリ線虫を見てきました。


この記事に来られた方は

これって何?

食べても大丈夫なの?

この虫の種類は?


ブリを食べる・捌く際、こんな疑問を持っていると思います。

せっかく釣った大物なのでなんとか対処したいですよね。

保険局の情報も載せていき、読者の疑問を解決していきます。



※本コンテンツはブリに関して、また読者の安全を保証するものではありません。近年の海水温上昇など環境変化により例外も考えられますので十分に注意してください。また虫の画像は控えた記事になっていますので安心して御覧ください。

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・本記事の執筆者:ミンコタ
・Twitterフォロワー:5000
@minnkota_style
・今まで釣りあげた魚種:100種以上
・釣り歴:30年
・2級船舶免許

目次

糸状虫入りブリは食べて大丈夫


ブリ 寄生虫


結論から先に。


線虫入りブリは食べても大丈夫です。

2022年6月農林水産省

「ブリ糸状虫は食中毒になったり、人の体内に寄生したり、卵を産み付けたりしない無害なもので、寄生していた魚も食べても衛生上の問題はありません」と書いてあります。

https://www.maff.go.jp/j/heya/sodan/2205/2206/02.html



東京福祉保健局も

ヒトへの影響は「寄生しません」と書いてあります。

https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/musi/22.html



筆者もブリ糸状虫に寄生された魚を何度も食べてきました。 (見た目がグロテスクであるため、寄生している場所を切り落とし、虫を除いて食べた。料理の方法は基本生食です)

WEB上の記事の多くに



食べても問題ない



とされています。

刺身の味についてはブリ特有の味がしてオカシイといった印象はありません。

しかし1つだけ大きな違いがあります。

次で解説していきます。

寄生ブリの見分け方

あくまで傾向ですが、



寄生されているブリは身体が細い個体が多いです。



特に尾付近が細く、同じ80㎝のブリでも1~2kg軽いことが多いです。

つまり



脂の乗った刺身ではない



ということです。

食べたときに美味しいと感じるブリ特有の上品な甘味が少ない。

これが食味の大きな違いです。


ブリ釣りに慣れてくると

釣った際に

「これは虫が入っているかも」

と思わず口にしてしまします。

ただ、泳ぎ方に差異もなく正確に外観から寄生しているかが判断できないため3枚におろしてからでないと残念ながら見分けるのは困難です。

なので大切な友人にあげるときはサクにしてから渡すのが無難です。

しかし、それはある時期に限ってのことです。

次で詳しく解説していきます。

季節によりブリ糸状虫は居ない

結論から言うと

冬のブリは糸状虫が抜けています。

正確には11~5月に釣れたブリに虫が居た経験がありません。

逆に夏が終わる9~10月(最も釣れる時期)には釣れた魚の50%以上に虫が入っています。 (地域によっては彼岸ブリという春先に上がる個体に多くみられ、秋にいなくなる)

この理由を示す論文がこちらです。

ブリに寄生する線虫の魚体脱出現象

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsfp1966/4/2/4_2_83/_pdf

簡単に言うと、はじまりは春の産卵でヤセブリに寄生し、夏を境に一部を残し、体表から抜け出ることが研究で明らかになっています。


一部が残っているということは、知らないうちに我々の口の中に入っている可能性は高いことが分かります(この点からも人体に害はないようです)。


もちろん寄生されていないブリもいますが


・有名な冬の氷見ブリ


・冬に流通される寒ブリ


虫のいないブリを食べるなら旬と言われる冬がおすすめです。

ブリに居る寄生虫は2種類


ブリ 寄生虫


「魚に虫が居るのは天然の証拠」

寿司屋・釣り人の間ではそういった言葉も散見されます。

ブリに関して言えば主に2種類が発見されています。

ブリ糸状虫(ブリ線虫)

人体への影響:
無害・寄生しない

呼び名:
ブリ糸状虫・ブリ線虫

色:
白・黄色・ピンク色

形:
細いミミズに似ている

細さ:
2~3mmほど

長さ:
5cm。長いもので50cmまで成長

主な生息場所:
血合い部分(血液を餌とするため)に多い、筋肉(繊維筋)

見つけ方:
血合い部分に目視ですぐ見つけることができます
虫が多いと3枚におろしたときに身に穴が開いています

発生する魚:
ブリ以外にもヒラマサに寄生していたこともありました
50㎝程度のブリ(ヤズ)では見かけたことがない

アニサキス 人体への影響:
食後数時間後に虫が胃に刺入することによる激しい腹痛、下痢嘔吐の症状を起こす
※死亡例は報告されていない:農林水産省HPより

https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/foodpoisoning/f_encyclopedia/anisakis.html


色:
半透明、または白色

形:
細い糸のように見える

細さ:
1mmほど

長さ:
2~5cm


主な生息場所:
内臓。魚が死亡すると身の部分に入ってくる
(釣ったら素早く内臓を除去すると寄生の可能性は低くなる)

見つけ方:
ハラミ部分、腹腔内膜、目視で見つけることができます
魚の鮮度が落ちると身に中に入ってしまい見つけるのが困難

発生する魚:
代表的な魚はサバ、アジ、サンマ、カツオ、イワシ、サケ、イカ。

ブリの寄生虫の割合

結論から言うと

ブリ糸状虫

50%(秋口)

残念ながら値を示す情報を見つけることができませんでした。 しかし筆者の経験の中では多いとされる時期で上記の値となっています。

アニサキス
4.5%

これを示す研究結果がこちらです。

魚種別アニサキス寄生状況について

https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/anzen_info/anisakis/tyousa2.html

※海域や地域による餌・水温の違いにより変動はあると思われます。

養殖出身に寄生虫が少ない理由


ブリ 養殖


結論から言うと



「人工餌であること」が挙げられます。



通常、虫はオキアミ<アジ・イワシ・サバ<ブリ、といった食物連鎖の過程で寄生します。

ブリの養殖は稚魚(モジャコ)を捕獲した後、大きく育てることがほとんどです。

生きている餌を食べる期間が短く、寄生する可能性が極めて低いとされています。

ただ、養殖場の網を超えてきた小魚を食べたことによる小さな可能性は否めません。

また、幼魚の頃にワクチン接種や投与(国から認められているもの)・エサに含む抗菌剤等によって安全に出荷されているのが現状です。

寄生ブリの食べ方

ずばり虫を除いて食べます。

ブリ糸状虫が入っていた場合でも対策はあります。

ポイントだけ箇条書きに。

・血合いを潔く切り落とします(一番多く生息している)

・身の部分を5~10㎝のサイズにぶつ切りにして虫の存在を確認します
・しっかりと目視確認したものだけをサクとする

上記は明らかに虫の量が多い時です。

個体によっては右半分だけ虫が入っているケースなどあるため、3枚におろしたときに判断し、虫が居なければそのままサクにする場合もあります(虫がいるところだけカットするイメージ)

処理をしっかりと行えばスーパーで販売しているような刺身ができます。

刺身が心配な方は潔く塩焼きや煮つけなど加熱して食べましょう。 多少イメージが薄れます。

今回食べ方をご紹介したのは、釣った魚は食べることで供養したい方向けですので、決して無理はしないでください。

一度見ると食欲を失ってしまうので、捨てる選択も否定はできません。

寄生ブリのまとめ

いかがだったでしょうか。

ブリの糸状虫は人に害のない虫です。糸状虫の読み方は「しじょうちゅう」になります。釣り人の間では線虫、読み方は「せんちゅう」。 そして天然の証です。

外観から見分けるのは困難ですが、比較的痩せている個体に寄生が多い傾向にあります。

そして糸状虫はブリの血を吸うため血合いに多くいます(血を吸われるためブリにとっては害)。

しかし春先から夏にかけて寄生し、冬には抜けていなくる生態的な特徴をもつため 冬のブリは安心して食べることができます。

アニサキスは危険な寄生虫です。

ブリに存在する確率は低いですが、新鮮な内に内臓を素早く除去することで食中毒の可能性を低下させることができます。

追記すると、これらの虫を死滅させるためにはマイナス20度で24時間以上の冷凍を行うことです。家庭の冷凍庫はマイナス20度まで至らないので、この場合は48時間以上、冷凍を行うことです。

上記の知識を知っておくことで せっかくの大物を捨てずにおく方法もご紹介しました。

例えばスーパーで見かけたとしても理解して言うクレームと、そうでないクレームには差がありますし、相手も返品に対しての印象が異なってきます。

お役に立てると幸いです。


他にも、Minnkota Fishing Styleでは、釣りに関連する様々な経験談をご紹介しています。

もし、釣りに関してまだ知りたいことがあれば、ぜひ関連する他の記事をご覧ください。

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