初めての船底塗料 完全ロードマップ
Last Updated on 2023年8月18日 by ミンコタ
こんにちはミンコタです。
釣り歴30年、21フィートのボートを所有しています。
私のノウハウを注ぎ込み、船底塗料の完全ガイドを作りました。
完全ガイドとは
・正しい塗り方を解説します。
・長持ちさせるポイントを解説します。
・各裏技、コツを細かく解説します。
ボートを係留しているとフジツボを代表とする海洋生物が沢山ついてきます。
筆者の経験では塗料なしで係留しておくと、1ヵ月で大型フジツボだらけになりました。
しかし船底塗料を塗っておくと1年はほぼ付着しません。
私が塗っているのは加水分解型です。
河口の影響を受け塩分濃度が低いマディな海域で係留しているため
「海洋生物が特につきやすい」ところで使用しています。
ちなみに色は黒です。これを使う理由も追って解説していきます。
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目次
・塗料の種類
色
量
毒性
・準備物
服装
・塗る時期
・正しい塗り方(船底清掃・塗装・下地・養生・塗装)
・5年に1回は削る
・長持ちさせるには
・まとめ
正しい塗り方や養生を行うことで1年のサイクルで船底塗装を行うことができます。
完全ガイドしていきます。
何で船底塗料を塗るの?
堤防の壁に牡蠣やフジツボがあるように、船も海上で停泊を続けると例外なく海洋生物が付着します。それを防ぐのが船底塗料です。
実際には下記の2種類のように、塗料がはがれる・あるいは溶けることによってフジツボの付着を防いでいます。
塗らなかった場合の被害!
20ノットが15になる
・燃費が悪くなる
1日30リッター消費が50に
・上手く曲がらない
舵が重い
代表的な塗料の種類
塗料で重要なのは塗料に含まれる防汚成分が「溶出」することです。
溶出の仕方には大きく分けて2種類あります。
★ペンキの缶に表記してありますよ!
自己消耗型は防汚成分が出やすいのが特徴で、塗膜から溶出した後は水流で一気に塗膜がパリパリと剥がれていきます。
なので船底がデコボコになって船のスピードが落ちる・部分的に一気にはがれてまたフジツボが付く場合もあります。
自己消耗型は水和分解型とも言われ同じ塗料の中でも安価になっています。
加水分解型の特徴はアイスのように水流の影響で塗膜がゆっくり溶解するイメージです。
海水の弱アルカリ成分に反応して塗膜が分解されていきます。
これの良いところはゆっくりと全体の塗膜が溶解するため、船底がデコボコにならず船のスピードが維持しやすくなります。
ちなみに溶出量としては
自己消耗型>加水分解型となります。
月1回しか船を動かさない場合は防汚成分の溶出が多い自己消耗型が向いていると言えます。
また防汚成分にはカキやフジツボに強い「亜酸化銅」と海草や藻などの植物類に強い「酸化亜鉛」の2種類がありますので係留する海域によって使い分けます。
亜酸化銅は電気的に金属を侵食する性質があるため、船外機やアルミ艇への使用はよくありません。
亜酸化銅塗料は、FRPや木製の船に使用されます。船外機・プロペラには専用の塗料が必要です。
(プロペラ用)。
筆者はチルト部分が海水につかるため専用のものを使っています。
色は影響するの?
経験上ですが、黒はフジツボが付きにくい傾向にあり、かわりにコケや海藻が生えます。
赤の塗料が好みだったのですが青や赤など色が明るくなるにつれてフジツボ量が増えた印象です。
現在は黒を選んでいます(黒塗料をはがすと昔の赤が残っています)。
塗料の量はどのくらい使うの?
でストレートV型の船底では1.5㎏でギリギリ2度塗ることができます※。2㎏だと余りますが、台風時に陸揚げした際に塗膜の薄くなった部分の補強として多めに購入しておきます。
※刷毛やローラーは毎回新品にします(再利用のローラーは塗料が船底に付きにくい)
毒性が強いの?
船底塗料は独特の臭いがあります。かつては有機スズ防汚塗料といった強力な防汚剤が存在していましたが環境汚染の影響があるため全面禁止となっています。
現在は有機スズに比べて毒性の低い亜酸化銅になっています。
当然ながら毒性が低くなったとはいえ目や口に入った時は水で洗い流し心配であれば病院にて医師の指示に従うようにしてください。
準備物
船底塗料塗りは大変です。自分以外にもう一人いるととても助かります。
下記は一人分ですので必要に応じて購入ください。
あまり大きなものは塗料を多く吸ってポタポタ落ちるため15-20㎝くらいのものを使っています。スモールローラーと呼ばれています。再利用ローラーは吸いが悪く、うまく転がらないため2倍は時間がかかります。
ケチらずに毎回新品を使った方が良いです。
スモールローラーに合うものを選びます。
ローラー皿塗料が垂れない程度に余分な塗料を落とすのに便利です。ポタポタ落ちると服が汚れたり塗料が足りなくなります。
マスキングテープ喫水線のために使用します。3-4cm幅のものをよく使います。筆者の船であれば1個あればよいですが失敗した時のために2個あると良いでしょう。
サンドペーパー#500-1000を用意します。これはマスキングテープをキレイにはがすための裏技です。
マスキングテープ<サンドペーパー<塗料とするとテープがはがれやすくなります。
よく塗料がはがれないことが多々あります(あるいは塗料ごとはがれたり)。車屋さんの塗装知識ですが役立っていますのでおススメです。
プレジャーボートであれば加水分解型で大丈夫です。色は黒、コケよりもカキやフジツボが船速や燃費に影響するので、これらに強い「亜酸化銅」を選びます。
21フィートで2㎏買いますがいつも0.3㎏ほど余ります。
刷毛などを洗う場合、塗料が少ない場合のうすめ液、または間違えて塗ってしまったときの補修などに使います。
わりばし船底塗料塗りで1,2を争うくらい重要なポイントなのですが、塗料を缶の中で10分はかき混ぜてなければなりません(塗料の説明にも書いてある)。これは塗料の防汚成分が沈殿しているためです。防汚成分が薄い部分ができると、そこから海洋生物が付着するので意味がなくなってしまいます。
ウエスとにかく汚れます。基本、船の下にもぐっての作業ですので塗料が垂れてきます。塗料の毒性を考えると使い捨てできるウエスが最適です。
スクレーパーこれはフジツボをこさぐための道具です。洗車機の水圧で落とせないものをこさいでいきます。経験者としてですが
小さいスクリッパーは手が疲れます。
長く、大型のものは力もいらず広い面積をガンガン削れますので気持ちも体も楽です。
ローラーやローラー皿、使ったウエス等々、入れるのに必要です。
カビキラー係留しておくと喫水線の上にコケが生えてきます。コケがあるとはっきりいって船が古臭く見えます。ブラシで磨くのですが小傷の中に浸透してて、なかなか取れません。カビキラーはよく取れます。その後、市販のクリアを塗っておくとコケが生えにくくなるのでおススメです。
服装
塗料は必ず付きます。付く前提で選んだ方が良いです。また肌につかないように長袖や手袋があるといいですよ。
ちなみに髪についたら最悪ですので帽子も。
1週間は取れませんでした汗。
実際に塗ってみる
船底塗料は正しい塗り方をすることで長持ちします。
フジツボ付着が少ない船は船速の維持と燃費の向上につながるのでぜひ取り入れてください。
正しい塗り方や養生を行うことで1年のサイクルで船底塗装を行うことができます。
1年後に2ノットほど遅くなり、若干の小さなフジツボが付いていました。
船底塗料を塗る工程として、船を陸に上げてから大きく4つに分かれます。それぞれ詳しく説明します。
1人時の所要時間も記載しておきますので目安にしてください。
塗る時期
これを踏まえて5~7月が最も良い時期になります。フジツボの最盛期に新しい塗料で対策する考えです。
塗料が乾くのであれば梅雨時期ではありますが6月でも大丈夫です。
筆者は5月に船底塗料塗り<9月台風時期の一時陸揚げ時に補修<5月に船底塗料塗り、のサイクルで行っています。
※マリーナの事情も考える
夏は海のアクティビティも活発化してマリーナも忙しくなります。陸揚げの際はマリーナとよく話して船底塗料塗りの時期を決めるとよいでしょう。
船底清掃(所要時間1時間)
マリーナであれば洗車機をレンタルし、水圧で海洋生物やコケ・古い塗装を落とします。
コツとしてフジツボの接着面に水圧が当たる様にすると良いです。こうして汚れの70%位は水圧で落とすことができます。
当然ながら洗車機の水圧は強く簡単に皮膚が切れますので軍手や手袋は必須です。
しかし、成長したフジツボやカキは水圧だけではとれません。ここでスクレーパーを使いながら剥ぎ残しを丁寧に落としていきます。
古い塗装も防汚成分が抜け落ちた状態なので可能な限り剥いでいきます(塗装の剥ぎ残しが多いと船底がデコボコになるので5年に一度は全てはいだ方が良い)。
デコボコが少ないと後のローラーでの塗装が楽になります。
この後の工程は船が乾いてからが良いので半日~1日おきます。 (船を陸揚げした時に清掃。翌週塗るといったサイクルで行うことが多いです)。
マスキング(10分)
次に喫水線部分にマスキングテープで養生します。
うっすらと残っている元の喫水線に沿って貼っていきます。
コツはテープを1カ所貼ってテープを長めに伸ばし、張りながら付けるとまっすぐになります(喫水線がでごぼこだと美しくないです)。
またマスキングテープは柔らかい素材なので船の角やスカッパー部分は何度か細かくちぎって貼ると良いでしょう。
マスキングテープを貼り終わったら、テープと喫水線部分にサンドペーパーをかけます。こうすることでマスキングテープはがしがかなり楽になります(塗料は重く厚いため、テープと塗料が一緒に剥げてしまうことがある)。
塗装(所要時間2時間、、1回塗り1.5時間)
まず、塗料の蓋を開けるとあまりの少なさに驚かれると思います。
塗料は比重が重いため見た目と釣り合いません。「これは慎重にしないと、、、」と思われますが
下記のポイントを押さえておくと大丈夫です。
塗料をおよそ10分ほど割りばしで混ぜます。底に沈殿した防汚成分をしっかりと攪拌させるためです。
塗料は重く、飛び散りやすいので服などにかからないように混ぜます。
混ぜ終わったらローラー皿に少量入れます。夏場はすぐに固まり、塗りにくくなるため慣れないうちは少量がよいです。
しっかりとローラーに塗料をしみこませ、垂れない程度に余分な塗料を落とします。
塗り方:1回ローラーにしみこませた時の目安
・最初はWの形でラフに塗る
・Wの後は隙間を埋めるように塗る
・同じところは重ねて塗らない
・力を入れすぎない(垂れてくる)
船底塗料は重く、すぐに乾燥するので塗ったところにもうローラーを通すと塗料がのって2重塗りになります。
2重塗りが続けば塗料が足りなくなる恐れもあるので注意が必要です。
まずは1回全体を塗ります。
2回塗りが基本
塗料缶にも記載されていますが2回塗りが基本です。
しかし筆者の場合は2回塗る場所は特に水圧がかかったり、よくフジツボがつく場所だけ2回塗ります(全部2回塗ると大変)
・スターン側(船の後ろ半分)
・太陽が良く当たる側(筆者の場合は左側)
・その他フジツボがつく部分
船台の受け部分は塗れないので、マリーナのクレーンで動かしてもらう(筆者は出航時につるしてもらったときに塗る)。
養生
メーカー推奨では24時間乾燥が基本です。
経験では
・3時間乾燥でもそこまで付かなかった(漁師さんはこのタイプが多い)
・7日以上おいておくと防汚成分が抜ける
・あるいは固まりすぎて多くフジツボが付いた
また雨はもちろん、雨後の湿度が高い場合は養生にもよくないので塗装のタイミングから避けるのが基本です。
このやり方で1年のサイクルで船底塗装を行うことができます。
長持ちさせるには
船底塗料を塗ったとしても、やはり船を走らせなければ、海洋生物やコケが付きます(汚れの上から)。
最低でも1ヵ月に1度は走らせてください。
一度フジツボが付くと新しいフジツボが重なって付くので1ヵ月くらいで野球ボール位のコロニーができます。
そうすると船速が落ち燃費にも影響しますので、塗装効果を長持ちさせるコツは乗ることです。
まとめ
いかがだったでしょうか。
塗料を塗り終わった最初の滑走は感動ものです。
それだけ海洋生物付着は船に負担をかけています。
塗料塗りは船を上げてから降ろすまで、早くて2日、遅くて3日ほど要します。
船底塗料には対象に応じた防汚成分があり、塗料効果には種類がありました。ご自身の海域で合う塗料を選んでください。
係留ライフは自分の好きな時間に好きなように出船できるメリットがあります。コスパもいいです。
船を維持するため、気持ちよく乗るためですので1年に1回はきれいにしてあげてください。
他にも、Minnkota Fishing Styleでは、釣りに関連する様々な経験談をご紹介しています。
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最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました。