釣りにおける正しいライフジャケットの選び方

Last Updated on 2022年9月24日 by ミンコタ

この記事は2020年小型船舶資料、海上保安庁の資料を参照まとめてみました。

ライフジャケットには陸用・沖用があります。

実は桜マーク付きでも違反になる可能性があります。

ダイワやシマノなど有名メーカーを選ぶ前に、まず正しい知識を身に付けることが大切です。


この記事を読むことで

・ライフジャケットの正しい種類がわかる

・ライフジャケットの正しい使い方がわかる

・水辺のレジャーで知るべき知識がわかる

目次

船の釣りでは義務化、岸からであっても着用することによって命を助けるため、ライフジャケットの必要性は高まっています。

購入する前に法令の内容を知って違反しないこと。水辺のレジャー知識・万が一落水した場合の漂流姿勢など知って生存率を高める記事です。

ライター紹介

・本記事の執筆者:ミンコタ
・Twitterフォロワー:5000
@minnkota_style
・今まで釣りあげた魚種:100種以上
・釣り歴:30年
・2級船舶免許

数字から見るライフジャケット

海の死亡事故の死因をみると、

ライフジャケット
未着用者52人中の溺死が17人(33%)

対して、
着用者47人中の溺死が3人(6%)

脳挫傷,低体温,頚椎損 傷等を除く未着用者の溺死率は,約6倍となっています。

海上保安庁ホームページ抜粋

https://www6.kaiho.mlit.go.jp/


メーカーから様々な商品が発売されており、しかも価格は高価です。

でも、上記の数字からもわかるようにライフジャケットの着用は命を守るため、考えなければいけません。

桜マークのライフジャケット

2022年2月1日に、より安全性の高い「桜マーク付き」のライフジャケットを着用することが義務付けられました。

簡単に言うと、ライフジャケットを着ていても、桜マーク(国土交通省認定品)でなければ船長が罰せられます。

それだけ同じライフジャケットでも違いがあるということです。

桜マーク(国土交通省認定品)


国土交通省の型式承認試験・日本船用品検定協会 (HK) または日本小型船舶検査機構 JCI 検査品があり、安全基準を満たし認定されたものの印です。

桜マークのライフジャケットは別名

「ブルーストーム」

というブランドで販売されています。

※認定品ではないものは検査費用がかからない分安く販売されている事が多いです。強度や浮力のチェックはメーカー責任になっています。



シマノやダイワをはじめ他のメーカーも国土交通省認定を受けている商品もあります。可能な限り、より安全性の高い桜マークモデルを購入しましょう。

大人用・子供用ライフジャケット


大人用は7.5 kgの鉄片を水中に吊り下げて浮いている程度の浮力を持つライフジャケットが使われますが、子供は次のような基準があります。


子供の体重

15 kg 未満 浮力4㎏以上

15 kg 以上40 kg未満  浮力5㎏以上

40 kg 以上 浮力7.5㎏以上

3種類ありますので適切な基準のものを着用させることが大切です。

大人用と比べてサイズも違います。

桜マーク付きでも違反!?



国土交通省のサイトはコチラ

マリンスポーツの用途・海域に応じて次のタイプ A から G の四つを選ぶ必要があります。桜マーク付きでおしゃれ・かわいいデザイン・輸入品のカッコいいライフジャケットが実は、、、と言うこともあります。

タイプA TYPE A

全ての小型船舶に法定備品として搭載することができるタイプで次の特徴があります。

・黄色やオレンジ色などの発見されやすい色

・サーチライトを反射する反射材

・存在をアピールするためのホイッスル(笛)

・浮力が7.5kg以上あります

全海域・全船で使えるタイプです。外洋に行く遊漁船は間違いなくこのタイプが必要です。

タイプD TYPE D

平水区域、2時間限定沿海区域(各海岸から5海里=約9.2km以内の水域)及び沿岸区域を航行区域とする小型船舶(旅客船を除く)及び水上オートバイ等に法定備品として搭載することができるタイプで次の特徴があります。

・黄色やオレンジ色に限らず「自由な色」

・サーチライトを反射する反射材

・存在をアピールするためのホイッスル(笛)

・浮力が7.5kg以上

タイプAと装備は一緒ですが限られた海域で使えます。国土交通省のページを見ると、遊漁船・漁船の場合は12海里までOKですが定員が13名以上の釣り船の場合は旅客船にあたるためDタイプは使えない表示になっています。

タイプF TYPE F

平水区域、2時間限定沿海区域(各海岸から5海里=約9.2km以内の水域)及び沿岸区域を航行区域とし、一定の諸条件に適する小型船舶(旅客船を除く)及び水上オートバイ等に法定備品として搭載することができるタイプで次の特徴があります。

黄色やオレンジ色に限らず「自由な色」

浮力が7.5kg以上

磯や防波堤・水上バイクでは肩部分が無いものが多い

タイプG TYPE G

これは小型船舶用浮力補助具になります。

これは、平水区域を航行区域とし、一定の諸条件に適する小型船舶(旅客船を除く)及び水上オートバイ等に法定備品として搭載することができるタイプで、次のような特徴があります。

・黄色やオレンジ色に限らず「自由な色」

・浮力が5.85kg以上(小児用はありません)

洋服式の水上バイク用のが多い


つまりタイプAは万能




つまり、

限られた海域で使用可能なDFGのタイプでも、乗る船が「旅客船」に該当する場合では違反になる可能性がある、

ということです。

法改正や新たに購入する時に心配であればタイプAを選ぶとよいでしょう。

日本釣用品工業会の解釈や表も見やすかったので参考までに

日本釣用品工業会のサイト

ライフジャケットの構造と機能


発泡固定式

発泡体のものを身につけているため体を守ってくれるので主に磯釣り用に適しています。

固定発砲は4-5センチあるものが多く、最初から浮いてくれるので初心者も安心です。

前方のチャックを閉め、股下ベルト、その他の紐をしっかりと装着することで落水時に抜けることを防ぎます。

固定式にはポケットがついたものが多く小道具をしまっておけます。

でも、体を動かしにくいデメリットもあります。


膨張式

人気のライフジャケットの1つで、手動のものと自動のものがあり体を動かしやすく夏でも涼しいのが特徴です。

浮き輪となる気室が小さく収納されており、肩からかける肩掛け(ベスト型)のものと腰に巻く腰巻(ウエスト型)のものがあります。

腰巻は2種類あり、
・ベルト式は気室を腰の後ろに
・ポーチ式は前にしておきます。

理由はそれぞれ気室膨張の形が異なるためです。

デメリットとして水感知機能装置(水を感知して膨らむ装置)及びガスボンベのメンテナンスが必要。消耗品として考える必要があります。
重さは1KG くらいです。

自動膨張機能は補助機能


落水しても膨らまない場合は動作索引いて強制膨張させます。膨張が不十分な場合は息を吹き込んで膨らませます。

そして、一度使用した水感知機能装置及びガスボンベは再利用できないので新しいものと交換する必要があります。

気体封入式

有効期限が定められています。


ハイブリッド式

コンパクトなのが特徴です。


ポイント

どの形のライフジャケットでも、体に密着させることで落水時でも脱げにくくすることが重要です。

落水後に引き上げる際、ライフジャケットが脱げて再落水して流されるケースもあります。


このため少しきついくらいが正しい着用となります。

・前面のチャックをしっかり閉めること。
・股下ベルトをしっかりはめること。

購入後はしっかりと調整しましょう。

義務化されたライフジャケットの着用

次の場合、救命胴衣(ライフジャケット)を着用しなければなりません。

①航行中の水上オートバイに乗船している場合


②12歳未満の小児が航行中の小型船舶に乗船している場合


③航行中の小型漁船に一人で乗船して漁労に従事している場合

小型船舶の船長は原則として「船室外の全ての乗船者」に救命胴衣を着用させることが平成30年2月1日に義務化されました。
小型船舶の救命胴衣は構造や形状により一般に次のように分類されます。

ポイント

海上という落水率が高いところは既に義務化されています。
なぜならば救命胴衣を着用していれば海中転落時の生存率が2倍以上高くなるからです。
小型船舶に限らずマリンレジャーでは必ず救命胴衣を着用しましょう。

落水したら 万が一に備えて

水の温度

海水の温度をご存じでしょうか。地域によって差がありますが、夏は30度、冬は15度、それ以下まで下がります。

海に落ちた場合、海水温度が15 度から20 度の場合、人は3 時間程度で死の危険が迫ります。

ライフジャケットがない場合泳がなければならないため余計に体力を消耗してしまいます。
くれぐれも海に出る前に知識と準備と体調管理は入念にする必要があります。

低体温症とは

低体温症は体温が35 度以下になる状態で、各種の身体的不調が生じ、さらに生命の危険に及ぶ場合もあります。

体温が低下するのは、身体内部で発生する代謝熱量と外部へ放出される熱量のバランスがくずれ放熱過多になるためですが、水は大気の25倍もの速度で体温を奪っていきます。

つまり水中にいると、身体の熱がどんどん奪われて体温が低下するわけです。特に20度以下の低水温下では要注意です。10度弱の状態では、1時間程度でも致命傷となります。

低体温に陥りやすい状況

同一環境下でも体格差や着衣の状況、精神力等によって個人差はありますが、身体の小さい子供は体表面からの放熱が大人よりも多く、低体温症になりやすい傾向にあります。

その他、体調不良や疲労は代謝発熱が低下し体温不足になります。

食事を抜くと発熱のためのカロリーが不足し、飲酒すると体温調節機能が低下するので危険です。

症状

まず、外見上は唇が青く変色(チアノーゼ)し、また身体が代謝発熱を高めようと震えが生じます。

手のかじかみによる握力低下等も、これらは軽度の状態です。

さらに体温が低下すると、震えは止まり緊急の手当が必要な危険な状態となります。

症状が進行すると動作が鈍く緩慢になり中度では意識が混濁して正しい応答が得られなくなります。
その後は意識が無くなり、重度の非常に危険な状態です。これら低体温症は水中に限った話ではなく、水から上がった後や汗の放置で着衣が濡れた状態、強風下、或いは登山などでも体が寒冷環境下にさらされれば同様の事態に陥る可能性があります。

落水したら



漂流姿勢

体温の放出が大きな部位は、頭部、首、四肢の付け根付近ですので、激しく泳ぐのは禁物。

人数が居れば胸を付けるように寄り添い、手足を閉じて体温の放出を防ぐ姿勢をとります。

頭部からの放熱は予想以上に大きいので帽子やフードは脱がないことです。

また落水者を救助する時は予想以上に困難です。

子供でも衣服が水に濡れ滑りやすく、重い状態です。

ライフジャケットのチャックやベルトをしっかり締める理由は、救助者がジャケットを持つことで素早く救出できるようにするためでもあります

処 置

軽度では、暖を取り暖かい飲み物を与えるなどして体を温めて処置しますが、中度以上では医療機関で の手当が必要です。

急激に温めたりマッサージすることは、末端部の冷たい血液を心臓に送ることになり、 ショック死を誘発するため厳禁です。

搬送にも十分注意が必要です。また重度の場合は、専門家でも生死 の判別がつかない状態(救急隊員が死亡と判断したのち、蘇生した事例が北海道であった)もあり、絶望的な状態でもあきらめないこと。

ただし、心肺蘇生の実施には詳細な観察を行う必要があります。

まとめ

いかがだったでしょうか。

筆者もライフジャケットを着る機会が多いため、自身のためにも海上保安庁、また小型船舶操縦士の資料をもとに記事をまとめてみました。

船釣りで沖に出る際はライフジャケットのタイプの確認が必要です。

色の指定もあります。

また、下記の種類があり、最初からフローティング機能があるもの、動きやすいもの、体を守ってくれるものなどメリットも含め沢山あります。

(構造)・・・ 固形式、膨張式、気体封入式、ハイブリッド式

(形状)・・・チョッキ式、首掛け式、ベルト式、ポーチ式

ライフジャケットにも種類や適性を考え設計されており、なぜ体に密着させないといけないか。

さらにマリンレジャーでの基礎知識を深めることで生存率を高めることができます。

備えあれば、という言葉があるように、皆さんのより良いフィッシングライフにつながればと思います。

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