【漁師流】魚・釣り血抜きの研究結果!
Last Updated on 2023年8月18日 by ミンコタ
漁師さんに聞き、
寿司屋さんに聞き、
血抜き・締め方を長く研究、今も最高の刺身を目指しています。
血抜きとは魚の保存方法の1つです。
釣れたての魚は正しい方法で持ち帰った場合、刺身は「ゴリゴリ」しています。
釣り人はそれを「生き身」と呼んでいます。
今回は最高の状態で持ち帰り、刺身にする方法・道具まで完全ガイドします。
研いだ包丁を使うと
— ミンコタ 釣り 好き (@minnkota_style) November 16, 2020
刺し身が潰れずに美味しく頂けるのでせっせと研ぎます☺️
他にも血抜きして、タオルで臭みをとって、、、😅
釣れた魚にたゆまぬ努力を注ぐのは、
全ては
「美味しい」と言われることで
はじめて、
その釣りが「完結」するような気がするからです😖
この記事を読むことで
そして釣れたての刺身が生臭く、ぶよぶよで家族に「美味しくない」と言われないための経験者の知恵を学ぶことができます。
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ライター紹介
目次
- なぜ血抜きが必要なの?
- 締めた後が血抜きのタイミング
- 締め方
- 上手な血抜き
- 血抜き後はすぐに海水氷へ
- さらなる鮮度のため神経締め
- 魚は帰るときに締める
- クーラーボックスでの持って帰り方
- 最高の状態の確認方法
- タオルで包む
- 包丁は専用のものを使う
- 刺身は冷蔵庫で一度冷やす
- まとめ
こちらは昔からの愛読書です。
なぜ血抜きが必要なの?
結論から言うと、
「身焼け防止」と「臭い対策」です。
温度
魚が死ぬときは暴れ、血を介して体温が上がります。
低い温度で生きる魚にとって体温上昇は身体に大きなダメージを残します。
“身焼け・ヤケ肉”と言ってマグロやブリなど処理が悪いと身が白くなる現象です。
つまり体温を上げさせないために血抜きをするということです。
臭い
刺身が生臭いのは血が原因です。
締め方の順番を間違うと身に血がめぐってしまい不味くなります。
また3枚卸にした時に、にじみ出るような血もしっかり取る必要があります。
できる限り血が抜けた状態で捌くのがおすすめです。
それでは正しい順番で解説していきます。
締めた後が血抜きのタイミング
血抜きを先に行うと、魚が暴れます。
・死に物狂いでバタつき傷がつく
・バタついて内出血が多くなる
・エネルギーを使って高ストレス状態になる
美味しく刺身を食べるためには上記は厳禁です。
このため、先に締めます。
そして、直ぐに血抜きします。
魚も人間と同じで心臓が動いて血液が循環しています。
心臓が止まる前に素早く血を抜く必要があります。
締める方法
脳締めといって脳天を潰して生体活動を停止させる方法です。
(活け締めとも呼ばれる)クーラーボックスに締めずに魚を入れてた場合、魚は生きていると絶命するまで体内のイノシン酸というエネルギーを使い、生きようとします。
イノシン酸はうまみ成分なので締める有り無しで美味しさが全く異なります。
脳締めのポイントは魚の目と側線の間を目安にナイフ等を刺し脳を潰します。
初めての方は頭蓋骨を避け、エラの上部から目に向かってナイフを入れると簡単で確実です。ハサミよりナイフの方が血抜き、締めの両方に使えますよ。
上手な血抜き
のど元(エラ)の太い血管を切ります。
エラを切っても血が少ししか出ないためです。
魚の動脈は背骨の下を尾まで通っていて、エラからナイフの刃を逆さまに入れて背骨をグリグリこするイメージで動脈を切断します。
その際、エラと身の間に膜があるのであらかじめ切っておくと海水氷に入れた際、スムーズに血が出てきますので左右切っておきます。
血抜き後はすぐに海水氷へ
締めた直後は体温がかなり上昇します。
この上昇を放置しておくと「身焼け・ヤケ肉」になってしまいます。
このためすぐに海水氷(潮氷)で「魚の芯まで」冷やす必要があります。
芯まで冷やすには時間がかかると思ってください。大型ほど時間がかかります。
時間は大きさにもよりますが対象が50㎝以下であれば10分くらいを目安とよいでしょう。
冷やしすぎると逆に死後硬直が早まってしまうので注意が必要です。
あれは冷蔵庫で冷やすよりも圧倒的に早くジュースが冷えてくれるからです。
バケツ等にあらかじめ砕氷しておいた氷と海水を入れ5分ほどで0度近くまで冷えます。
(夏の海水は温かいので多めの氷を用意。また板氷に海水では時間がかかります)
ここに魚を入れることで死後に上がる体温を一気に0度近くまで下げ、身焼けを防ぎます。
10分ほど入れておかないと芯まで冷えないので注意ください。
死後、いかに低温を保つ
長崎県総合水産試験場での検証結果として、夏場は身焼けが起こりやすい傾向がでています。
https://www.pref.nagasaki.jp/shared/uploads/2018/11/1543300334.pdf
アジやサバは海水氷にいれる氷締めがおすすめです。小型の魚は締める際に身がつぶれたりするため低温で仮死状態にして締めます。また数が釣れた場合にも作業が簡単です。
さらなる鮮度のため神経締め
脳を締めても神経は生きているため、生きようとする活動を続けることが分かってきました。
背骨近く(上)を通っている神経(脊髄)にワイヤーを通して神経を壊することで死後硬直が始まるまでの時間を長くします。
海から自宅までの距離が長い人にとっては良い保存方法で、海水氷でしっかりと冷えた状態を確認した後、行うと良いでしょう。
やり方として少し難しいですが、
まず魚の左右の鼻の間にアイスピックなどで穴をあけます(頭蓋骨)。
そこからワイヤーを通すわけですが、なかなか入っていきません。
魚の側線を目安にワイヤーを何度かすると、魚が反応(ビクつく)する所があります。ここが神経です。
上手に通していくと脳死している魚でも悶絶しバタバタとなりますのでワイヤーが神経を通っている証拠です。
尾まで通したら何度かワイヤーを出し入れし、魚がバタつかなくなったら完全に神経を破壊したことになります。
尾を切断すると背骨の上に白い神経が見えるのでやりやすいですが、私は尾までキレイに食べたいので上記の方法で行います。
魚は帰るときに締め、血抜きする
刺身がぶよぶよになる原因は死後硬直が解けることが原因です。
硬直前、硬直中であれば、あの「ゴリゴリした」触感が残っています。
市場では死後硬直前の魚が高値で取り引きされているのが現状です。
つまり「釣りたて、そのまま」をいただくには釣った後の死後変化の進行をできる限り抑えることです。
なのでシンプルに
釣れたらイケスや活かしビクに入れて置き、帰り際まで生かしておくこと
これを行ってください。
死んでから完全に死後硬直するまで5-22時間といわれていますが、死んだ直後から死後硬直ははじまります。
我々は漁師さんのようにな氷量など持ち合わせていないため経験上2-3時間で完全硬直します。
硬直が解けてくると同時に生化学反応(ATPの消失)が起こり,身が軟化しやすくなります。
残念ながら、いったん鮮度が落ちると、いかなる手段でも、もとの新鮮に戻すことができません。
イケスやビクのもう一つの役割
すぐに締めずに、イケスや活かしビクで休ませてあげることは体温を元に戻す役割となります。
最高の保存のための順番
釣れた魚をイケスで休ませる<帰る前にイケスやビクから魚を出す<素早く脳締め<血抜き<海水氷で10分冷やす<神経締め
脳締め・神経締めともに魚がかなり暴れます。
タオル等で身を潰さないようにしっかりと押さえてあげてください。
漁師さんの船にあるマットの意味
お気づきに方も多いと思いますが、漁師さんは魚を締める際、暴れても魚の身を傷めないようにマットの上で締めます。
またマットの上だと暴れないとも言われています。
クーラーボックスでの持って帰り方
海水氷で完全に冷やした場合、魚は芯まで0度近い状態になります。
冷やしすぎるとかえって死後硬直を早めますので、クーラー内の氷は最小限にします(冬はいれないこともある)。
しかし移動中に氷は解けだします。
魚が水に浸かっていると白身魚は水を吸うため刺身がぶよぶよになりやすくなります。
死んだあとの魚の体液なども出てきます。
対策として
・ペット氷で水を出さずに冷やす!
・魚を新聞紙・ビニール袋で包むことで直接氷で傷めない、さらに水分保持!
最高の状態の確認方法
家に帰って魚の頭を持ち左右に振ってみてください。
硬直していなければ尾っぽが左右にプルプルと動くはずです。
この状態が最高です。
もし硬直していれば魚のサイズ、締め方、血抜き、冷やし方を改める必要があります。
できる限り水を使わない
最高の状態で持ち帰った魚はまだ完成形ではありません。
鱗を取った後は水を使いたい所ですが、白身魚は特に水を吸いますので、できる限り水を使わないようにします。
また内臓を破ると臭みが身に移るため、内臓を傷つけないよう三枚におろすことでも美味しい刺身に近づきます。
寿司屋の定番 タオルで包む
三枚にした刺身の部分はその場でタオルに包み、身がつぶれない程度でギュッと圧を加え水分と血合いを吸い取ります。
そしてそのまま冷蔵庫で1時間ほど寝かせます。
こうすることで余分な水分・血・臭いを吸い取ることができる寿司屋さんの知恵です。
よく「キッチンペーパーは?」と聞かれますが、キッチンペーパーは冷蔵庫で一度は水分等を吸います。
しかし、吸水力が限られるため、また身に戻ってしまうデメリットがあります。
包丁は専用のものを
包丁は刺身包丁(長いもの)を使いましょう。
切れない包丁は身を潰してしまいます。
つぶれた身はぶよぶよで美味しくありません。
つぶれていない目安として、刺身の角が立っている状態を見てみましょう。
あと切るときは必ず「引いて」ください。
ノコギリのように前後させると身がつぶれます。
刺身は冷蔵庫で一度冷やす
刺身の状態になったら一度冷蔵庫で10分ほど冷やしましょう。
刺身が引き締まってよりゴリゴリとした活き身を味わうことができます
(鯛などの白身系は冷蔵庫で冷やさないと柔いままの魚種です)。
死後は成分分解がはじまるので活締後、8時間が一番美味しい科学根拠も忘れてはいけません。
まとめ
いかがだったでしょうか。
より美味しくいただくために、漁師さんに聞いて・寿司屋さんに聞いて
たどり着いた20年研究の研究成果です。
血抜きを極めると、今までよりも美味しい刺身をいただけます。
クーラーボックスに入れるまでの順番は以下です。 釣れた魚をイケスで休ませる<帰る前にイケスやビクから魚を出す<素早く脳締め<血抜き<海水氷で10分冷やす<神経締め
そして三枚になるまでは水をできる限り使わずタオルを贅沢に使いましょう。
また切れる包丁で身を潰さないように切ります。
きっと家族が「釣れたての本物」をいただくことができるはずです。
血抜きの理由を知れば、スーパーで買う刺身よりもおいしくいただくことができるはずです。
他にも、Minnkota Fishing Styleでは、釣りに関連する様々な経験談をご紹介しています。
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